平昌五輪が25日に閉幕。数々の素晴らしい競い合いに、私も心が躍り、感動しました。その中で最も称賛したいのは、スキージャンプ女子の伊藤有希選手です。多くの人が言っていることに私も同感。最後のジャンプを飛び終えた高梨沙羅選手に駆け寄り、抱きしめた、あの祝福の抱擁こそ、今大会最高のシーンでした。


■待ち望んでいたもの

 前回ソチ五輪からの4年間、「高梨沙羅の雪辱」ということが、国民的な宿題だったのだと思います。

 それが今大会の見事なジャンプにより、銅メダルという形で一応の決着を得た。目指した金メダルではなかったけれど、高梨選手自身が内容に満足し、今季のW杯の成績にも見合った順位だったことで、応援する私たちにも安堵感と納得感がありました。ダントツの実力ナンバー1がメダルなしに終わったソチのような悔しさはなかったです。

 そして、私たちが待ち望んでいたのは、実は金メダルではなく、高梨選手の満足した笑顔だったことに気づきました。伊藤選手のおかげです。飾りのない、素直な気持ちで高梨選手を祝福した伊藤選手が、そのことに気付かせてくれたのだと思います。不運な追い風による自身の不本意な結果を置いて、後輩のメダルを心から喜べる心の広さが、金メダル以上の大きな感動を呼んでいます。


■五輪の残酷さ

 こんな健気な若者たちを4年間も重圧の下に置いてしまう五輪とは、なんて残酷なものでしょう。日の丸を背負うことの功罪は、これまでもさんざん問われてきたわけですが、改めて考えさせられます。選手に過大な重荷をかけないよう、周囲やメディアも相当に配慮していると想像しますが、それでも華々しさの陰で五輪が宿命的に持つ残酷さに、私たちも覚悟して向き合わなければならないと思います。

 私は記者時代に伊藤選手の高校の卒業式を取材しました。本当に普通の高校生でした。それ以来、ずっと気になる選手です。知り合いの記者たちによると、とても明るく、周囲に気を配る人柄で、多くの報道関係者に好かれているそうです。

 伊藤、高梨両選手のこの4年間の努力と平昌での活躍をたたえ、アスリートとしてのさらなる成長を祈ります。