20161004東旭川説明会 この惨状は河川行政の怠慢のせいだ。なのになぜ、われわれが後片付けをしなければならないのか――。 

旭川市東旭川町豊田の農協事務所で4日夜、8月の連続台風で被災した農家を集めて、市農政部による災害復旧事業の説明会が開かれた=写真上。出席したのは地元の農業者十数人。洪水で大被害を受け、来年の営農も危ぶまれており、河川行政に対する積年の不満や怒りが噴出した。


■市の復旧予算 4億円

 東旭川地区は8月の台風11号と9号による大雨でペーパン川が洪水を起こし、稲は倒され、田畑は表土とその下の貴重な基盤をえぐり取られた。水が引いた跡には、大量の土砂と流木と、壊れたビニールハウスが残った。

 国の「激甚災害」指定を受けて、市が被災農家に提供するのは、復旧工事のための二つの補助金だ。一つは国の補助金で40万円以上の工事が対象。もう一つは市が新たに作った補助金で、国の支援対象から外れた40万円未満の工事に対応する。市は財源として約4億6000万円の補正予算を組むことにし、今月11日に市議会にかける。

それを前に市農政部が開いた説明会。「復旧に向けてスピード感を持って取り組みます」、という市の次長のあいさつで穏やかに始まったが、しかし、ひと通り説明が済むと、会場から厳しい指摘が相次いだ。


■「わかっていたのに、どうして」

 多くは、これまでの河川行政201608東旭川ペーパン被災地(治水)に対する憤りだった。「ペーパン川のしゅんせつ工事を振興局(北海道庁の上川総合振興局=河川管理者)に何度も頼んでいたが、動いてくれなかった。振興局の怠慢のせいなのに、なんでわれわれが(土砂や流木の)後片付けをしなければならないんだ」。高齢の男性は声を震わせながら、その場にいない道庁に対する怒りを市職員にぶつけた。

「台風が来るのがわかっていながら、なぜダムを満水のままにしておいたのか」。別の男性は、上流のペーパンダムを管理する旭川市を批判した。次長は「治水ダムと違い、洪水調整機能がないので」と弁解したが、男性は納得しなかった。

「工事をする前に、残っている稲を刈らないといけない。でも土砂の流入で機械が使えない。人手もない」と、窮状を訴える農業者もいた。補助金だけでは解決しないのだ。何年も手をかけて作った苗床をハウスごと流された農家は、「もう一度作れと言っても3年はかかる。若い人ならともかく…」と肩を落とした。

 市によると、東旭川地区では10月下旬から12月上旬にかけて2か所の農地で復旧工事が行われる予定。しかし、ほかの一部箇所では堤防工事が優先されるため、農地の復旧は雪解け後になり、来年度の営農は難しいという。

 

*写真下=洪水でつぶれたビニールハウス(8月29日、旭川市東旭川町ペーパンで、あずま直人撮影)